当院では、はりきゅう治療による緩和ケアを推進しています。
国民の4人に1人が高齢者の時代となり、高齢化に伴うさまざまな問題が、今後ますます増加するでしょう。特に、がんについては、現在、国民の2人に1人は一生のうちにがんに罹るといわれ、さらに3人に1人ががんによって亡くなっています(2015年現在)。
わが国のこのような背景にあって、今後、緩和ケアの需要は広がっていきます。当院では、クリニックとの連携のもと、緩和ケアを推進しております。
緩和ケアとは
緩和ケアは、深刻な病気を持つ人々のための専門的な医療への学際的なアプローチです。それは、どんな診断によるものであろうと、深刻な病気による痛み、物理的ストレス、そして精神的ストレスから開放することが優先されます。ケアの目的は、患者と家族双方のQOL(生活の質)を向上させることにあります。
(フリー百科事典 ウィキペディア「Palliative Care」http://en.wikipedia.org/wiki/Palliative_careより)
医療の進歩に伴い、多くのがんは治療可能な病気となっています。たとえ、完治させることができないがんであったとしても、治療によって、生きがいと尊厳に満ちた生涯を全うすることができるようになってきています。しかし、医療が進歩したといえど、いまだに多くのがん治療には苦痛を伴う場合があります。
緩和ケアは、具体的には、がんそのものによる体の痛みや心の問題(不安、抑うつなど)に対する直接的なケアと、がん治療に伴う心身の苦痛(吐き気、嘔吐、脱毛、疲労、便秘、口腔乾燥、むくみ、ホットフラッシュなど)によって、がん治療を続けることができなくなることがないよう、各々の症状を緩和させることを目的とした間接的なケアの両方を含み、その対象は患者さんご本人にとどまらず、ご本人とその家族を含めているのです。
注意していただきたいのは、決してがんそのものを完治させることが目的ではないということです。
アメリカでは、20世紀末より、鍼やマッサージ、漢方、ヨガなど、さまざまな補完代替医療(CAM)の臨床研究を進め、その効果が検証されてきました。21世紀に入り、手術の後の痛みやがん治療に伴うさまざまな症状の緩和を目的に応用されるようになり、2015年現在、がんの緩和ケアに鍼やマッサージが有用であることを示すデータが多数示されており、がんの緩和ケアに鍼を応用することが当たり前になりつつあります。
当院の緩和ケア
当院のはりきゅう師は、アメリカ・ニューヨークの私立がんセンター「メモリアル・スローン・ケッターリング・キャンサー・センター(MSKCC)」の統合医療センターによる認定を受けています(Acupuncture for The Cancer Patient Level 1)。
また当院は、系列の医療機関(新潟リハビリテーションクリニック)の医師や、その他医療スタッフと連携し、包括的な緩和ケアを推進しています。