's Teache Voice rr自分が好きなこと・趣味を活かせて人のためになる仕事です!認知症サポーター養成講座は、地域住民の方に認知症について理解していただき、認知症の当事者や家族の方のサポーターを養成する意義があります。そのため、多くの認知症サポーターを養成することを厚生労働省が推し進めています。新潟リハビリテーション大学では、作業療法学専攻の教員が中心となり本学の学生が参加して、村上市の全地域の市民の方に参加していただいて実施しています。作業療法士は、骨折や麻痺などの身体障害により、日常生活動作が行えなくなった時に、リハビリテーション(作業療法)を行います。作業療法の手技の一つに自助具を使用する方法があります。例えば、主婦にとって調理することは、家庭内の役割として生き甲斐になっていることがあります。片麻痺の障害により、リンゴを切るやむく動作ができなくなった場合に、片手動作で行えるように、リンゴを固定する自助具を使用します。既製品の自助具が、その人の障害に合わない場合には、作業療法士が手作りします。思わぬ事故により、手の力が弱くなってしまうことや関節が硬くなってしまうことがあります。そのことによって、自身の意思で自由に手を動かすことが困難になる場合があります。手のリハビリテーションでは、作業療法士が医師と協働し、手術後のリハビリテーションを担当します。関節の硬さを取り筋力を強化することや、装具を用いた日常生活場面の練習、職場復帰に向けた支援を通して、その人に合わせた役割の再獲得を目指します。日常生活をより簡便に過ごすことができるよう、世の中には様々な道具があります。近年では3Dプリンターの普及に伴い、これまで世になかった道具がたくさん生まれています。生活に困っている方を対象に、作業療法士はその場面を分析します。困難さが生じている原因を医学的知見から分析し、解消するために3Dプリンターを用いて新たな道具を開発・提供します。そのことによって、困難であった動作が容易に解消することに繋がります。作業療法士の専門領域の一つに、発達障害をもつ子どもの支援があります。発達障害領域は、病院、クリニック、療育センター、特別支援学校、学童保育、放課後等デイサービスなど、多岐にわたります。作業療法士は発達障害のある子どもに対して、日常生活動作、遊び、学習、社会生活技能、対人交流技能などの発達を促します。例えば、子どもが興味を引く様々な遊具を使って「感覚統合療法」を行い、運動機能や知覚認知機能の促進を図ります。ひとがその人らしい生活を送っていくためには、身体機能とともに精神機能の働きが必要とされます。精神障害をもつことにより低下した精神機能の回復に、作業活動が治療、指導、支援の手段として用いられます。例えば皮革細工で作品を作る過程のなかにも、知覚機能、思考機能、高次認知機能のような、ひとの精神機能が用いられます。作業療法士は、対象者の目標に合った作業活動を提供して、精神機能のリハビリテーションを支援しています。高齢者は、楽しみとなる趣味や役割を持って、生き甲斐を感じながら、いつまでも家族と一緒に生活できることが、幸せに繋がります。作業療法士は、高齢者が、体力低下や身体的な障害があっても、生き甲斐を感じながら生活できるように、支援します。例えば、畑仕事は重労働ですが、いつまでも畑仕事を続けたいと願う高齢者は多いです。そのような高齢者には、農作業の負担を軽減するアシストスーツ着用を検討することも、作業療法士としての支援方法となります。精神科リハビリテーションと作業療法士 精神科リハビリテーションには多くの専門職が関わっています。その中で、作業療法士の占める役割は、とても大きなものがあります。精神科病院では、入院、通院の対象者に、診療所では主に、通院の対象者に、訪問看護事業所では、通院の対象者にリハビリテーションサービスを提供しています。また、就労支援を行う事業所では精神障害を有する方への職業リハビリテーションを提供しています。精神科作業療法士のかかわりの特徴は、対象者に対して、個別或いは集団の活動を通して日常の作業活動を提供し、対象者の精神機能の回復を図り社会適応能力や対人技能を高めていくことです。医師が薬物療法を治療手段として行うように、心理士が言葉を治療の手段として用いるように、作業療法士は作業(生活行為)を治療、リハビリテーションの手段及び目的として対象者に関わっていく、それが作業療法士の大きな魅力です。日常生活活動の支援と作業療法 作業療法士の専門分野の一つに、日常生活訓練があります。私が取り組む研究では、利き手交換を必要とする脳卒中患者や正しい箸の持ち方が苦手な児童に対して、箸操作の支援を行っています。具体的には、モーションキャプチャーを使用して箸操作の動きを可視化して評価したり、企業と共同で新たな自助具箸の開発等に取り組んでいます。箸は世界中の人に愛用されており、「生命の杖」と言われるほど人の生活の質に直結しています。また、箸を使うことは、早食いや一口量の軽減を図ることができ、生活習慣病の予防に繋がるなどの効果も報告されています。我々作業療法士は,食事以外にも、整容、更衣、入浴、排泄、余暇、復職、運転など、さまざまな日常生活活動の支援を行なっています。日常生活活動の支援に興味のある方は、私たちと一緒に学んでみませんか?准教授 丁子 雄希専攻長 長谷川 裕Niigata University of Rehabilitation | 18's Teache Voice 認知症サポーター養成講座調理動作リハビリと作業療法士手のリハビリと作業療法士3Dプリンター活用と作業療法士発達障害リハビリと作業療法士作業活動の精神障害リハビリテーションへの活用高齢者支援と作業療法士
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