's Teache Voice rr小さい大学だからこそできるフェイスtoフェイスの学び。明日の地域医療を支える理学療法士を目指す!病気や怪我をした直後の救命処置や手術などを終えた状態の患者さんに対して、理学療法を行います。発症から1カ月くらいの患者さんが対象となり、病態が不安定で安静が必要な状態の患者さんに筋肉の衰えや、関節が固くならないように予防することが大切になります。さらに、早期から離床をすることで脳の活性化などを促します。患者さんの状態変化に合わせて多くの職種と連携しながら臨機応変に対応する能力が必要です。急性期より病態が改善・安定したら、回復期病棟にてさらに身体機能の改善を図ります。この時期は患者さんの回復が最も見込める時期であり、生活環境に合わせながら、寝返り、起き上がり。立ち上がり、歩行などの基本動作から、食事、整容、入浴、トイレなどの日常生活動作の獲得を行います。理学療法では運動療法、物理療法、自助具や生活支援機器などを活用し、不安を抱える患者さんを多くの職種と連携しながら支えていきます。回復期を経て治療などの医療行為が終了すると生活の中心は自宅で生活することとなります。自宅に戻ってから身体能力の向上や転倒予防を行うために、訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションにて幸せな生活を送るための支援を提供します。定期的に患者さんの検査、運動、家族指導や環境整備などを行い、患者さんの生活の質の向上と心の支えなどの心理的な介入をしていきます。病院よりは規模が小さく、軽い症状の方が来られます。いわゆるかかりつけ医として地域に根差した医療を提供する診療所(医院・クリニック・診療所)などになります。主に骨、関節、筋などの痛みを訴える方が多く、運動療法や物理療法を行い、痛みの改善や生活動作指導、体操指導などを行い、それぞれの患者さんに合わせた理学療法を提供します。また、診療所によってはスポーツ障害や、膝や肩など専門分野に特化したものもあります。介護老人保健施設は病院と自宅の中間施設とされています。病院から退院してすぐに生活に戻ることが不安な人や、生活に戻るための体や生活動作の準備が不十分な人が安心して生活に戻るためのリハビリテーションを行います。施設では個別活動や集団活動を通して、生活だけでなく社会参加による対人関係にも介入します。これからも高齢化により在宅で生活する高齢者や障がいのある方々は増えていくことが考えられます。そのため地域理学療法は今後さらに活躍の場が広がる分野でしょう。スポーツ分野では多くのプロスポーツで理学療法士は選手と関わっています。スポーツ分野では日頃の予防やコンディショニングが非常に大切であり、試合で最大のパフォーマンスが発揮できるような体つくりが大切になります。またスポーツ外傷では救急的な処置や怪我の状況をみながら適切な処置により試合復帰や辞退の判断をしなければなりません。さらには外傷後の早期試合復帰のためのメニューを考えながら、選手と共にゴールを目指します。また、健康寿命を長くすることは、すべての人にとって非常に大切です。生活習慣病の予防や、身体機能の低下に伴う要支援の予防を行うことが必要です。健康でいられる時間を長くすることで、旅行や趣味の時間を作ることができ、社会参加や生活の質の向上に働きます。生活支援工学 私は生活支援工学を専門にしています。生活支援工学は障がいを持った人だけでなく、すべての人が対象となります。生活を便利にするための道具や機器だけでなく、体の仕組みや動かし方などを研究して動作指導や介助方法の援助もできます。主には3Dプリンターを利用した自助具の作成や、身近なものでできるリハビリテーションツールなどの研究を行っています。また、大学の講義では物理療法も担当しています。子どもの運動発達研究 子どもの理学療法分野では、発達に関する研究、特に運動発達の研究が行われています。健常児がからだを使う運動では3か月で首が座り、6か月でお座りができ、9カ月で四つ這い移動、12カ月で立ちあがり、そして歩くことができるという発達を示します。 運動発達の月齢や順番はおおよそ万国共通であり、順調に発達しているかを判断する場合の指標になります。これは過去の研究者たちが多くの子どもたちの膨大なデータを集め平均値を求めた結果であり、運動発達研究の基礎になっています。 運動発達研究の一例をあげます。ダウン症の子どもが歩けるようになるまでは健常児より遅く、平均約22カ月とされています。そこで、私と私のゼミ学生が一緒にダウン症児の研究(卒論)を行いました。心疾患のあるダウン症児群と心疾患のないダウン症児群の運動発達を比べた結果、適切な療育(ハビリテーション)を行えば、心疾患の有無は運動発達に影響しないという興味ある結果を得ることができました。なぜなら、心疾患は誰もが運動発達を遅らせると懸念していたからです。理学療法を単に実施するだけでなく、このような研究によって自分たちが行うリハビリテーションの効果を確認できることは、さらに自分の仕事の質を高める上で有効だと考えます。副学長 押木 利英子学生部長・専攻長 星野 浩通Niigata University of Rehabilitation | 16's Teache Voice 急性期の理学療法士回復期の理学療法士生活期(維持期)の理学療法士スポーツ、健康増進領域の診療所の理学療法士老人保健施設等での理学療法士理学療法士
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